山口県の北部に位置する「萩市」は、”明治日本の産業革命遺産”として世界遺産に登録された「萩反射炉」や「恵美須ヶ鼻造船所跡」などを有する街です。また、毛利家の城下町として栄えた歴史ある町並みや「須佐ホルンフェイス」など火山活動によって生まれた絶景なども見どころ。今回は、そんな萩市の観光名所を8カ所ご紹介します。
萩城跡
日本100名城の一つ
慶長9年(1604年)、毛利輝元が日本海に面した指月山に築いた「萩城」。山麓の平城と山頂の山城を合わせた平山城で、「指月城」とも称されました。明治7年に天守閣や矢倉などの建物はすべて解体され、残された石垣と堀の一部が往時の姿を伝えます。
現在、萩城跡一帯は指月公園として整備され、園内には天守閣跡や二の丸内につくられた回遊式の庭園「東園」、13代藩主・毛利敬親ゆかりの茶室「花江茶亭」などの旧跡が点在しています。約600本のソメイヨシノをはじめ、県の天然記念物の「ミドリヨシノ」という全国でも萩でしか見られない貴重な桜があり、春は桜の観光名所としても有名。
夜は天守閣跡の石垣などが通年でライトアップされ、幻想的な景色も楽しめますよ。

住所
山口県萩市堀内500
お問い合わせ
0838-25-1826
営業時間
開園時間
①4月~10月 8:00~18:30
②11月~2月 8:30~16:30
③3月 8:30~18:00
利用料金
①大人210円、小・中学生100円
②旧厚狭毛利家萩屋敷長屋と共通券
アクセス
萩循環まぁーるバス(西回り「晋作くん」)「萩城跡・指月公園入口」下車、徒歩3分
駐車場
有り
萩市指月第一駐車場 普通車51台 310円
雲林寺
猫好き必見!ネコだらけのお寺
萩市市街地から車で30分ほどの旧むつみ村エリアに位置する「雲林寺」。境内にはバラエティー豊かな猫のグッズが飾られていることから、「猫寺」として親しまれています。チェーンソーアーティスト・林隆雄氏が手掛けた木彫りの猫像、金運や仕事運アップにあやかれる特大サイズの招き猫、猫をモチーフした絵馬やお守り等の授与品などなど、どこもかしこもネコだらけ!
お寺でよく見かける撫で仏も、雲林寺では猫のお姿。体の悪いところと同じ場所をさすると病気平癒のご利益があると人気を集めています。また、「猫かぶり」」という木彫りの猫の被り物もあり、猫になりきって写真を撮ることもできますよ。
お寺では本物の猫も数匹飼っているので、運が良ければ会えるかもしれません。可愛い猫たちが出迎えてくれる雲林寺に、ぜひ足を運んでみて下さい。

住所
山口県萩市吉部上2489 雲林寺
お問い合わせ
08388-6-0307
アクセス
車:
中国自動車道「鹿野IC」から約53分
須佐ホルンフェルス
黒と白の縞模様が美しい断崖
国の名勝・天然記念物に指定されている「須佐湾」。屏風岩や海蝕洞といった火山活動と海が生み出した絶景が広がり、「萩ジオパーク」の一部ともなっています。海にせり出す断崖「須佐ホルンフェルス」は、そんな須佐湾を代表する観光名所の一つ。
”ホルンフェイス”はマグマの熱で形成された変成岩のこと。白と黒の地層が重なり合うユニークな景観は、「日本の地質百選」や「21世紀に残す日本の風景遺産100選」に選ばれています。
陸上からも満喫できる須佐ホルンフェルスですが、遊覧船に乗れば別の角度から絶景を楽しむことも!「須佐湾ジオクルージング」では、本物の漁師が操縦するイカ釣り漁船や瀬渡し船で景勝地を巡ることもできますよ。遊覧船は乗船日等が決まっているので、詳細を確認してからお出かけしてみて下さい。
住所
山口県萩市須佐高山 北海岸 須佐ホルンフェルス
お問い合わせ
08387-6-2219
アクセス
電車:
JR山陰本線「須佐駅」から徒歩で約39分
萩市佐々並市伝統的建造物群保存地区
赤色の石州瓦の家並みが残る宿場町
「堀内地区」「平安古(ひやこ)地区」「浜崎」「佐々並市(ささなみいち)」の4つの国指定重要伝統的建造物群保存地区を有する萩市。その数は京都市、金沢市と並び、全国最多を誇ります。
その中の一つ佐々並市は、萩城下町と防府市三田尻を結ぶ全長約53kmの萩往還の中間点に位置する農村集落です。江戸時代に藩主が休憩する御茶屋が設けられ、参勤交替の際などの宿場町として栄えました。
歴史の道百選にも選ばれた萩往還沿いには、幕末から近代にかけて建てられた茅葺屋根の民家や赤色の石州瓦の建物が残ります。
人馬や駕篭(かご)を調達する目代所(もくだいしょ)として使われていた「 旧小林家住宅」では、佐々並地区や萩往還についての説明パネルの展示や地場産品の販売。お茶やコーヒーなどを頂ける喫茶スペースもあるので、観光の休憩に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

住所
山口県萩市佐々並14-1 萩市萩往還夏木原交流施設
アクセス
バス:
JR「山口駅」からバスで約42分
明神池
”天然の水族館”と称される不思議な池
標高 112mの日本最小の火山・笠山の麓に広がる「明神池」。名前の由来は、萩藩2代藩主・毛利綱広が安芸の厳島明神を祀ったことにちなみます。明神池は笠山の火山活動によってできた池で、国の天然記念物に指定されています。一見普通の池ですが、地下で海に通じているため池の水は何と海水!潮の満ち引きで水位が変わります。
大池、中ノ池、奥ノ池と3つの池からなる明神池では、豊漁を祈願して地元の漁師が奉納した魚が繁殖。マダイやボラ、エイなど、約20種類の魚が生息し、”天然の水族館”と称されます。エサを販売する売店もあり、魚のエサやり体験をすることもできますよ。
池のほとりには、地元漁師直営のレストランもあり、神秘的な池を眺めながら食事も楽しめます。

住所
山口県萩市椿東6447−2
アクセス
電車:
JR山陰本線「越ヶ浜駅」から徒歩で約23分
萩反射炉
世界遺産に登録された製鉄所の跡
「萩反射炉」は幕末に萩藩が造った製鉄所の跡で、国の史跡に指定されています。ぺリー来航前後の日本では、欧米列強に対抗するため鉄製大砲の生産が試みられました。
大砲の鋳造に必要な金属溶解炉が全国各地に造られましたが、現存するのは萩反射炉と静岡県の韮山反射炉の2基のみ。日本の近代産業史上、極めて貴重な遺跡であることから、平成27年に世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」の構成資産の一つともなっています。
安山岩と赤レンガでできた萩反射炉は、実用には至らなかった試作炉。高さ10.5mの煙突部分が地上に残るほか、地下では炉体基部の一部や掘立柱建物跡の遺構が発掘されています。我が国の近代化の歩みを感じられるスポットなので、世界遺産巡りを楽しみつつ、足を運んでみてはいかがでしょうか。

住所
山口県萩市椿東4897-7
お問い合わせ
0838-25-3380 (萩市世界文化遺産課)
アクセス
電車:
JR山陰本線「越ヶ浜駅」から徒歩で約18分
駐車場
あり(無料)
松下村塾
幕末の志士たちが学んだ吉田松陰の私塾
松陰神社の境内に位置する「松下村塾(しょうかそんじゅく)」は、幕末の教育者・吉田松陰が主宰した私塾です。松陰は西洋の教育や産業等を取り入れた進歩的な国づくりを目指していました。高杉晋作、伊藤博文、山県有朋など、多くの塾生は師の志を受け継ぎ、明治維新の原動力として活躍。
日本の近代化、工業化の過程で重要な役割を担ったことから、「萩反射炉」や「萩城下町」などの4資産のとともに世界遺産に登録されています。
松下村塾は木造瓦葺き平屋建てで、8畳と10畳半の2部屋の小ぢんまりとした建物。講義室として使用されていた8畳の部屋には、松陰の石膏像と肖像画、机が置いてあります。中には入れませんが、外から部屋の様子を間近で見学できますよ。
神社の敷地内には松陰ゆかりの品々を展示する宝物殿や、ろう人形で松陰の生涯を紹介する歴史館もあるので、併せて訪れるのもおすすめです。
住所
山口県萩市椿東 松下村塾
お問い合わせ
0838-22-4643
アクセス
電車:
JR山陰本線「東萩駅」から徒歩で約11分
駐車場
あり(無料)
郡司鋳造所遺構広場
西洋式大砲の鋳造技術を再現
松下村塾のすぐ近くにある「郡司鋳造所遺構広場」は、萩藩専属の鋳物職人・郡司家の鋳造工房の遺構を移築整備した公園です。農具や生活用品、仏教行事で用いる鐘などを鋳造していましたが、幕末のペリー来航後には藩の大砲製造所に指定。日本の在来技術である「こしき炉」を利用して、西洋式の青銅大砲を鋳造しました。
2000年から3年にわたり、鋳造所があったとされる場所で発掘調査が行われ、大砲鋳造に用いられた遺構が発見されました。郡司鋳造所遺構広場には巨大な石組みやこしき炉などが原寸大に再現されているほか、西洋式大砲のモニュメントや説明パネル等も設置され、大砲鋳造の方法の技術を間近で見ることができますよ。広場には東屋もあるので、歴史を感じながらのんびり過ごしてみてはいかがでしょうか。

住所
山口県萩市 椿東 郡司鋳造所遺構広場
アクセス
電車:
JR山陰本線「東萩駅」から徒歩で約9分
いかがでしたか?
今回は山口県萩市のおすすめ観光名所を8つピックアップしてご紹介しました。日本100名城の一つに数えられる「萩城跡」、国の天然記念物に指定された「明神池」、猫寺”として親しまれる「雲林寺」など、萩にはたくさんの観光名所があります。
ご紹介したスポットを参考に、お出かけのプランを立ててみてはいかがでしょうか。