箱根の岡田美術館では、2017年11月3日(金・祝)から2018年4月1日(日)まで、特別展「仁清と乾山 ―京のやきものと絵画―」を開催しています。

野々村仁清(ののむらにんせい)(生没年不詳)は、鮮やかな色絵陶器を完成させた人物とされ、「京焼の祖」とも言われています。仁清の作り出す端正で雅やかな器は、公家や大名家に重用されました。

一方、尾形乾山(おがたけんざん)(1663~1743)は、仁清に続いて京焼を発展させ、兄・光琳(こうりん)との合作の絵皿など、絵画とやきものを融合させた、これまでにない革新的な器を生み出しました。

本展では、重要文化財を含む岡田美術館収蔵の仁清と乾山の全作品を一堂に展示。この貴重な機会を体験していない方は4月1日までの開催なのでまだ間に合います!是非訪れてみましょう!

この記事の目次

見どころ1 岡田美術館収蔵の「重要文化財」2点揃い踏み!


野々村仁清「色絵輪宝羯磨文香炉」

野々村仁清の「色絵輪宝羯磨文香炉(いろえりんぽうかつまもんこうろ)」。

柔らかなクリーム色の胎土に赤、青、緑で、密教法具である輪宝(りんぽう)と羯磨(かつま)(三鈷杵を十字に組んだ形の法具)を交互に描き、金彩で縁取っています。底面に「明暦三年/播磨入道/奉寄進/仁清作/卯月日」と刻まれ、同じ形、大きさ、銘をもつ作例(大阪・藤田美術館蔵・重要文化財)の箱書によって、明暦3年(1657)4月、技術向上の願いが叶った御礼として仁清が寺院に寄進したものの1つと判明し、中でも仁和寺に寄進したものと伝えられます。

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(重要文化財)野々村仁清

「色絵輪宝羯磨文香炉」江戸時代 明暦3年(1657年)岡田美術館蔵

仁清の制作年が判明する作品は、本作と藤田美術館蔵の2点しか現存せず、大変貴重であるとともに、仁清得意のろくろと色絵の技術を駆使した、寺院に奉納するにふさわしい品格の備わった作品です。


尾形乾山「色絵竜田川文透彫反鉢」

尾形乾山の「色絵竜田川文透彫反鉢(いろえたつたがわもんすかしぼりそりばち)」。

赤や黄色に色づいた紅葉と内側に流れる川によって、風光明媚な紅葉の名所竜田川を表した華やかな反鉢です。形と文様、枝や葉の間に入れた透かしが見事に調和し、角度を変えて見る毎に紅葉の重なりが変わり、様々な表情を生み出しています。樹や流水の太い線の下に目安の彫線があること、内側に葉の輪郭だけを残す部分があること、外側に葉脈だけの葉があることなどから、変更を重ねながら制作したことが分かります。「透彫反鉢(すかしぼりそりばち)」は人気の器種で類品が多数知られますが、本作のような制作の模索が感じられるものは他にありません。

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(重要文化財)尾形乾山

「色絵竜田川文透彫反鉢」江戸時代 岡田美術館蔵

本作は、内側の水流と紅葉によって「竜田川」を表し、外側は紅葉のみで主題を連想させる乾山の創意が高く評価され、2015年、乾山の色絵作品として初めて「重要文化財」指定を受けました。

見どころ2 京焼の祖 野々村仁清

俗名野々村清右衛門。丹波国野々村(現在の京都府南丹市)の生まれで、瀬戸で修業したのち、正保4年(1647)頃、京都・仁和寺門前に窯を開き、御室焼(おむろやき)を始めました。仁和寺の「仁」と清右衛門の「清」を取って「仁清」と称し、茶人・金森宗和(1584~1656)の指導のもと作陶を行い、後水尾天皇をはじめ、公家や加賀・前田家などの大名家に重用されました。仁清の作品は、現在国宝に2件(日本陶磁全体の国宝指定数は5件)、重要文化財は19件も指定され、高い評価を受けています。

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野々村仁清「白釉黒刷毛目文水差」江戸時代 岡田美術館蔵

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野々村仁清「銹絵星文茶碗」江戸時代 岡田美術館蔵

岡田美術館収蔵の作品6件は、仁清が完成させた鮮やかな色絵(「色絵輪宝羯磨文香炉」)、ろくろの名手仁清の作る端正な形(「白釉黒刷毛目草文水指」)、モノクロームで表した侘びの趣(「銹絵星文茶碗」)、写実性の強い具象の作品(「銹絵雁香合」)など、仁清の代表的な特徴を表しています。このうち、「白釉黒刷毛目草文水指」と「銹絵星文茶碗」は門跡寺院である曼珠院(まんじゅいん)旧蔵と伝わることから、皇室ゆかりの作品も併せて展示いたします。

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野々村仁清「銹絵雁香合」江戸時代 岡田美術館蔵

見どころ3 絵画とやきものを融合させた尾形乾山

本名尾形深省(おがたしんせい)。京の呉服商雁金屋の三男として生まれ、次兄は尾形光琳(1658~1716)です。野々村仁清から作陶を学び、37歳で京都・鳴滝の地に窯を開きます。この地が都の乾(西北)の方角のため窯名を「乾山」とし、自身の号としても使用しました。その後、正徳2年(1711)に市中の二条丁子屋町に移転し、兄・光琳との合作や宴席の器などを制作し人気を博します。69歳頃江戸に下り、晩年は作陶だけでなく絵画も多く手がけました。

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尾形乾山「色絵立葵図香合」江戸時代 岡田美術館蔵

岡田美術館には「色絵立葵図香合」のような初期の作品から、最盛期に作られた華やかな「色絵竜田川文透彫反鉢」、兄・光琳との合作「銹絵白梅図角皿」、晩年に描いた「夕顔・楓図」まで、乾山のやきもの19件、絵画2件が収蔵されています。尾形光琳の「蕨図団扇」や、乾山顕彰を行った酒井抱一の「月に秋草図屏風」など、琳派の絵師の作品と併せて尾形乾山の魅力をご堪能ください。

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尾形光琳・乾山「銹絵白梅図角皿」江戸時代 岡田美術館蔵

イベント情報

  • イベント名 仁清と乾山 ― 京のやきもと絵画― 
  • 開催場所 岡田美術館
  • 開催期間 2017年11月3日(金・祝)〜 2018年4月1日(日)
  • 開館時間 午前9時〜午後5時(入館は4時30分まで)
  • 休館日 会期中無休
  • お問い合わせ 0460-87-3931
  • 美術館サイト http://www.okada-museum.com
  • 入館料 一般・大学生 2,800円/小中高生 1,800円