1,300年以上前に栄えた古都・奈良。歴史的価値の高い寺院や神社が点在していますが、その最たるものが世界遺産に登録された「古都奈良の文化財」です。1998年に世界遺産リストに登録された、「東大寺」「薬師寺」「春日大社」「平城宮跡」「唐招提寺」「元興寺」「興福寺」「春日山原始林」の8遺産で構成されています。今回は、奈良県の象徴・誇りとも呼べる歴史遺産の魅力をご紹介します!

この記事の目次

1. 東大寺

奈良の象徴的文化財・東大寺盧舎那仏像が鎮座する


古都奈良の文化財において、まず訪れておきたいのが「東大寺」でしょう。子供の頃に修学旅行で訪れたことのある方が多いかもしれません。しかし、大人になったからこそ、東大寺の圧倒的な美しさに感動できるはずです。


東大寺の始まりは、天平19年(747)。桓武天皇の命令により、大仏の起工が開始されました。竣工したのは5年後。さらに、大仏が収められている国宝「東大寺大仏殿」は789年に完成。幾度も焼失・再建が施されてきました。

日本最大の木造建築とも称される、東大寺大仏殿。その大きさに圧倒されてしまいますが、創建当初は現在の1.5倍もあったと考えられています。大仏殿内には、奈良を象徴する御本尊「東大寺盧舎那仏像」。「宇宙全体を統括するもの」という意味が込められているそうです。また、大仏の両脇に鎮座する「虚空蔵菩薩坐像」と「如意輪観音坐像」の神々しさに息を飲むことでしょう。


また、東大寺の境内はとても広く、時間がゆる限り周囲を散策するのがおすすめ。かつては四里四方まで音が響いたとされる日本三大名鐘や鑑真和上が設けた「戒壇院」もあります。

東大寺


住所

奈良県奈良市雑司町406-1


営業時間

①営業時間

4月〜10月:7:30〜17:30

11月〜3月:8:00〜17:00

②定休日

年中無休


利用料金

・中学生以上:600円

・小学生:300円


アクセス

電車: 

①近畿日本鉄道「奈良駅」から徒歩で約19分 

②JR「奈良駅」から徒歩で約32分


車: 

①京奈和自動車道「木津IC」から約14分 

②西名阪自動車道「天理IC」から約24分


駐車場

無し


ウェブサイト

http://www.todaiji.or.jp/

2. 薬師寺

病に臥せった皇后の平癒を願い創建された寺院


朝廷の保護を受けていた南都七大寺のひとつ「薬師寺」。病気平癒・健康祈願のご利益がある仏様を本尊とし、心身の健康を祈願する参拝者が全国から訪れています。


現在から1,300年以上も前のこと。天武天皇が皇后の病気平癒を願い、藤原京に創建したのが薬師寺の始まりです。その後、平城京遷都に伴って、現在の場所に移されました。この時、伽藍や仏像も移したという説と寺院の名籍だけを移して新しく造り直したという説があり、その真意は今も分かっていません。


薬師寺の敷地は、「白鳳伽藍」と「玄奘三蔵院伽藍」の2つに区分されています。


白鳳伽藍で一際目を引くのが、朱色が美しく映える「金堂」。国宝「薬師三尊像」が本尊として安置されています。東洋美術の最高峰とも称され、その美しさに見とれてしまうことでしょう。また、その奥には伽藍最大の建物「大講堂」があり、重要文化財「弥勒三尊像」や日本最古の国宝「仏足石」が安置されています。


玄奘三蔵院伽藍では、「西遊記」に登場する三蔵法師のモデルにもなった「玄奘三蔵座像」を安置。年に4回のみ拝むことができます。

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薬師寺


住所

奈良県奈良市西ノ京町457


営業時間

①営業時間

8:30〜17:00

②定休日

年中無休


利用料金

①一般

・大人:800円

・中高生:500円

・小学生:200円

②玄奘三蔵院公開時

・大人:1,100円

・中高生:700円

・小学生:300円


アクセス

電車:

近畿奈良線「西ノ京駅」から徒歩で約1分


車:

西名阪自動車道「郡山IC」から約20分


駐車場

有り

有料(500円)


ウェブサイト

http://www.nara-yakushiji.com/

3. 春日大社

鮮明な朱色と万灯籠が魅了する、春日神社の総本社


奈良県の文化遺産は寺院だけではありません。

全国約1,000社ある春日神社の総本社「春日大社」が鎮座。平成28年、第60次式年造替(20年ごとの式年造替)が行われ、社殿の再造と御神宝の新調が行われました。


春日大社の起源は、平城京遷都のとき。

藤原不比等が常陸国鹿島(現在の茨城県)から、藤原氏の氏神を神域・御蓋山に招いて祀ったのが始まりとされています。その後、中世以降になると、武家や庶民からの信仰を集め、3,000社以上の分社が全国各地に建てられたそうです。

春日大社といえば、重要文化財「中門」の鮮やかな朱色が印象的。また、社殿には約2,000基の石灯篭と約1,000基の釣灯籠は「万灯籠」として知られ、参拝者の視線を惹きつけます。


また、春日大社の眼下には「春日大社国宝殿」も必見。

サントリー美術館や根津美術館を手がけた建築家・弥田俊男氏によって大改装されました。平安時代の名宝が数多く収蔵されており、「平安の正倉院」とも称されるほど。352点の国宝と971点の重要文化財が収められています。

春日大社


住所

奈良県奈良市春日野町160


営業時間

①4月~9月 6:00~18:00 

②10月~3月 6:30~17:00 

③本殿前特別参拝 9:00~16:00 

④国宝殿 10:00~17:00(入館は16:30まで) 

⑤植物園 

・3月~11月 9:00~17:00(入園は16:30まで) 

・12月~2月 9:00~16:30(入園は16:00まで)


定休日

祭典等により終日参拝不可日あり


利用料金

①本殿前特別参拝 

・初穂料500円 

②国宝殿 

・一般 500円 

・大学生・高校生 300円 

・小中学生 200円 

・団体一般 400円 

※大学生以下の団体料金設定はありません 

③萬葉植物園 

・大人 500円 

・小人 250円


アクセス

電車:

JR「奈良駅」・近畿「奈良駅」からバス約15分、春日大社本殿下車、徒歩すぐ


車:

京奈和自動車道「木津IC」から約20分


駐車場

有り 

・100台(有料) 


①開場時間 

・2月~11月 7:30~17:00 

・12月~1月 7:30~16:30 

②駐車料金 

・乗用車 1,000円 

・バイク 300円 

・バス 2,500円


ウェブサイト

http://www.kasugataisha.or.jp/index.html

4. 平城宮跡

古都・奈良の世界へと誘う、平城京の中心地


近鉄奈良線で「奈良駅」へと向かう途中。

車窓から望めるのは、広大な敷地と鮮明な朱色に彩られた大きな門。まるで、古都・奈良へと誘うかのように「平城宮跡」が広がっています。


平城宮は、奈良時代における都の中心部。政治を行う政庁や天皇の住居が置かれており、実際、発掘調査では天皇や貴族の遺物が数多く発見されています。その上に整備・造築されたのが「平城宮跡歴史公園」です。

平城宮の正門に当たる「朱雀門」。近鉄奈良線の車窓から見えた巨大な門で、左右の高さは55mあり、かつては平城宮をぐるりと囲っていました。門をくぐって正面へと歩いて行くと、目の前にそびえるのが「大極殿」。天皇の即位式や外国からの使者との面会など、重要な儀式のために使われていたそうです。平城京をはじめ、奈良時代のことをより詳しく知るのなら「平城宮跡資料館」も訪ねておきましょう。遺跡から発掘された土器、古瓦、木簡などが展示されています。


また、平城宮跡歴史公園は散歩にも最適なスポット。遮るものが一切ない青空を仰ぎながら、ゆるりとしたひと時を過ごしてはいかがでしょうか。

平城宮跡


住所

奈良県奈良市二条大路南4丁目1


営業時間

①営業時間

9:00〜16:30

(入園は16:00まで)

②定休日

毎週月曜,年末年始

祝日の場合は翌日


アクセス

電車:

近畿日本鉄道「大和西大寺駅」から徒歩で約10分


車:

西名阪自動車道「郡山IC」から約10分


駐車場

有り

無料


ウェブサイト

https://www.heijo-park.go.jp/

5. 唐招提寺

授戒を定めた鑑真和上が教えを説いた寺院


近鉄橿原線「西ノ京駅」を最寄りとする「唐招提寺」。

東大寺や興福寺があるエリアから西側に位置し、平城宮跡から南へと歩いた場所に鎮座しています。


創建年代は天平3年(759)。

苦難の末に渡来した唐の高僧・鑑真和上によって、唐招提寺は建てられました。東大寺にある戒壇院にて授戒(仏門に入る者に授ける戒律)を定めたあと、新田部親王の旧宅を「唐律招提」と名付けて教学の場を設けたのが始まりです。その後、平安時代初期に伽藍が完成し、唐招提寺と名が変わりました。


南大門をくぐった正面にそびえるのが国宝「金堂」。平城京にあった建物を移築したもので、現存する唯一の遺構。「盧舎那仏坐像」を本尊とし、右側には「薬師如来立像」、左側には「千手観音立像」があり、いずれも国宝に指定されています。


奈良市の中心地から離れているため、人通りは少なめ。ひっそりとした境内のなか、ゆっくりと世界遺産を堪能したい方にもおすすめです。

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唐招提寺


住所

奈良県奈良市五条町13-46


営業時間

①営業時間

8:30〜17:00

(受付は16:30まで)

②定休日

年中無休


利用料金

・大学生・大人: 600円

・中・高校生:400円

・小学生: 200円


アクセス

電車:

近畿日本鉄道近鉄「西ノ京駅」から徒歩で約10分


車:

第二阪奈有料道路「宝来ランプ」から約10分


駐車場

有り

乗用車500円


ウェブサイト

http://www.toshodaiji.jp/about.html

6. 元興寺(がんごうじ)

極楽に通じる東門、その先に現れる国宝・極楽堂


奈良公園内にある「元興寺(がんごうじ)」。

飛鳥時代の面影を残す国宝・重要文化財を携え、歴史的価値の高さから世界文化遺産に登録されました。四季折々の美しい花を愛でられることから「花のお寺」とも親しまれています。


始まりは、遡ること6世紀。蘇我馬子が飛鳥に建立した日本最古の寺院「法興寺」が前身。710年の平城京遷都に伴って奈良の地に移され、元興寺と命名。奈良時代には南都七大寺のひとつとして威勢を振るい、奈良市街の東南部を占めるほどの広大な敷地を持っていました。


元興寺の正門である「東門」は重要文化財。通常は南門が正門としていますが、極楽浄土の入り口が東門にあるという考えあってのこと。また、国宝「極楽堂」「禅室」が残っています。仏像ではなく浄土変相図「浄土曼陀羅」を本尊としています。


屋根瓦の一部分は飛鳥時代のものが使われており、法興寺から運ばれてきたものは赤みを帯びています。屋根を見上げながら、古式瓦を探すのも一興ですよ。

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元興寺


住所

奈良県奈良市中院町11 元興寺


営業時間

9:00~17:00(入門は16:30まで)


定休日

年中無休


利用料金

・大人:500円(秋季特別展期間中600円) 

・中高生:300円 

・小学生:100円


アクセス

電車:

①近鉄「奈良駅」から徒歩で約15分 

②JR「奈良駅」から徒歩で約20分


車:

西名阪自動車道「郡山IC」から約20分


駐車場

有り 

・10台(無料)


ウェブサイト

https://gangoji-tera.or.jp/

7. 興福寺

奈良を収めていた南都七大寺、貴重な文化財の宝庫


鎌倉時代から安土桃山時代まで。巨大な寺勢を誇り、実質的に奈良を治めていた「興福寺」。時を経た今でも威厳を感じずにはいられない建造物が残っています。


興福寺の始まりは、藤原氏の菩提寺。

710年の平城京遷都を機に、藤原不比等が現在の場所に寺院を移転、興福寺と命名。境内には、奈良のシンボルでもある国宝「五重塔」や重要文化財「南円堂」などが建立されました。


長い歴史の中で幾度も焼失・再建を繰り返してきた興福寺。創建当時の面影はほとんど残っていませんが、一方で、天平時代や鎌倉時代の寺宝が数多く健在しています。


なかでも有名なのが、国宝「阿修羅像」でしょう。

3つの顔と6本の腕を持つ仏像で、その凛々しい容姿が注目されました。そのほか、木造金剛力士像や巨大な千住観音菩薩像など、名品の数々が「国宝館」に所蔵・展示されています。


興福寺の周辺は自然豊かで、ゆっくり散策するのにちょうどいいスポット。境内の眼下には南都八景のひとつ「猿沢池」があり、可憐に枝垂れる柳と五重塔が水面に写ります。秋の紅葉も格別ですよ。

興福寺


住所

奈良県奈良市登大路町48


営業時間

国宝館・東金堂

①営業時間

9:00〜17:00(入館・入堂は16:45まで)

②定休日

年中無休


利用料金

①国宝館

・大人・大学生:700円

・中高生:600円

・小学生:300円

②東金堂

・大人・大学生:300円

・中高生:200円

・小学生:100円


アクセス

電車:

近畿日本鉄道近鉄「奈良駅」から徒歩で約15分


車:

京奈和自動車道「木津IC」から約15分


駐車場

有り

1日1000円


ウェブサイト

http://www.kohfukuji.com/

8. 春日山原始林

太古から守り継がれてきた、手付かずの原始林を歩く


奈良市街から東側に位置する「春日山原始林」。

春日大社の神域として、古くから狩猟や伐採が禁じられてきました。現在も保護下にあり、標高489m、約250haの広大な敷地には太古からの原始林が植生しています。


長い時を刻んできた大木が立ち並ぶ、春日山原始林。常緑広葉樹や蔓性植物、シダ植物など、約800種類もの貴重な植物生態が作られています。学術的な価値が高いことから、大正13年(1924)には国の天然記念物に、昭和30年(1955)には特別天然記念物に登録され、照葉樹林は国の名勝にも指定されています。


神域となれば、立ち入ることは難しい?と思われるかもしれませんが、一部分は遊歩道が整備されており、ハイキングを楽しむことができます。渓谷沿いに石畳が続く滝坂の道では、「寝仏」や「夕日観音」、「朝日観音」、「春日山石窟仏」といった石仏を拝むことができ、その先には、剣豪の里と名高い「柳生」へと続きます。


数千年もの時を経て、手付かずのままの原始林が残る春日山。外界から閉ざされた神秘的な空間のもと、森林浴を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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春日山原始林


住所

奈良県奈良市 奈良奥山ドライブウェイ


アクセス

電車:

JR「奈良駅」・近畿「奈良駅」よりバス「春日大社本殿駅」下車、徒歩すぐ


車:

西名阪自動車道・名阪国道「天理IC」から約15分


駐車場

有り


ウェブサイト

http://www.pref.nara.jp/25846.htm

いかがでしたか?

今回は、奈良県が誇る世界遺産「古都奈良の文化財」をご紹介しました。

その他の世界遺産との違いは、ひとつの施設ではなく、8つの資産がひとつの文化遺産として登録されていること。奈良市全体がひとつの世界遺産といっても過言ではありません。

1,300年以上前に栄えた平城京から守り受け継がれてきた、社寺仏閣や秘仏・社宝の数々。古都・奈良の魅力にどっぷりと浸ってみてはいかがでしょうか。